大阪・関西万博2025で「PANAF」という名前を聞いて、ピンとくる人は少なくないはずだ。アフリカンダイニングホール「PANAF」は、万博会場の中でも特に注目を集めたグルメゾーンで、公式サイトのページビューは閉幕までに約11万PVを記録した。

万博全体のレストランの中でもトップクラスの注目度だった。「あそこでアフリカ料理を食べた」「ジーニャのカクテルが最高だった」という声がSNSに今でも残っている。

この記事では、PANAFの全容を整理する。万博に行った人の記憶を鮮明にしたい人にも、行けなかった人がどんな場所だったか知りたい場合にも使える。


PANAFとは何だったか

**PANAF(パナフ)**は、大阪万博2025の会場内に設けられた「アフリカンダイニングホール」の名称。正式名称は「アフリカンダイニングホール PANAF」。

PANAFというネーミングの由来は「Pan-African(汎アフリカ)」。54か国が加盟するアフリカ連合(African Union)の精神に基づき、アフリカ大陸全体の食文化・音楽・文化を一つの場所で体験できる施設として設計されたダイニングホールだ。

単なるレストランではなく、アフリカの6つの地域(北アフリカ・西アフリカ・東アフリカ・中部アフリカ・南部アフリカ・ディアスポラ)のエッセンスを「料理・音楽・ファッション・アート」を通して伝える文化体験の場として機能していた。


施設の構成

PANAFは主に2つの店舗と周辺施設で構成されていた。

ビストロノミーレストラン「ティンガ」

テーブルで料理を楽しむビストロ形式のレストラン。「ティンガ」という名称はアフリカの絵画芸術「ティンガティンガ」に由来する。

毎月テーマが変わる「月替わりのアフリカ料理」を提供していたのがティンガの最大の特徴。1月は北アフリカ(モロッコ・エジプト・チュニジア等)、翌月は西アフリカ(ガーナ・ナイジェリア・セネガル等)というように、6つの地域を順番に取り上げた。

一般的な日本人がアフリカ料理として思い浮かべるのは「クスクス」か「タジン鍋」程度だろうが、実際のアフリカ料理はその多様性で知られる。ティンガでは:

  • 北アフリカ系:クスクス、タジン鍋、チェルムーラソース
  • 西アフリカ系:ジョロフライス、スーパ・カンジャ(落花生シチュー)
  • 東アフリカ系:ウガリ(トウモロコシの粉を練った主食)、ニャマ・チョマ(グリルミート)
  • 南部アフリカ系:ブラーイ(南アフリカ式BBQ)、ボボティ(ミートローフ)

日本ではまずお目にかかれない料理が多く、「こんな味があるのか」という発見が万博グルメの醍醐味だった。

アフリカンビールバー&ミクソロジー「ジーニャ」

バー形式の店舗で、アフリカ各地のクラフトビール・スピリッツ・カクテルを提供した。「ジーニャ」という名前はスワヒリ語で「仲間」「仲良くなること」を意味する言葉だ。

アフリカのクラフトビールは日本ではほとんど流通していない。南アフリカの「ドラフト」、ルワンダの「ムーズ・ビール」、エチオピアの「セント・ジョージ」など、日本で飲む機会がほぼない本場の味が揃っていた。

「ミクソロジー」という言葉が示す通り、カクテルもアフリカの素材を使ったオリジナルレシピ。ハイビスカス、バオバブ、タマリンドなどをベースにしたカクテルは、飲んだ人から「フルーティだけど複雑な味」という感想が多かった。

アルコールが飲めない人向けのモクテル(ノンアルコールカクテル)も豊富に用意されていた。


ライブステージとイベント

PANAFで特に記憶に残っている人が多いのが、ライブステージのパフォーマンスだ。

アフリカ各国のミュージシャン・ダンサーによる生演奏・ダンスが定期的に行われた。アフロビート、ハイライフ、ケパ(ジンバブエ)、マコッサ(カメルーン)、グルコ(西アフリカ)といった、日本では聞く機会が少ないアフリカン・ポップスのライブが無料で楽しめる環境は唯一無二だった。

ファッションショーも開催され、アフリカのテキスタイル(カンガ、キテンゲ、アンカラ等)を使ったモダンなデザインが披露された。

特別イベントとして、アフリカ連合の文化担当者によるレクチャーや、各国の伝統楽器の演奏体験ワークショップも不定期で実施された。


VIPコーナーとギフトショップ

VIPコーナー(要予約)

PANAF内にはBtoB商談対応のVIPコーナーが設けられていた。アフリカのビジネス関係者と日本企業の担当者が交流するための場として機能し、万博のビジネスマッチング機能の一環だった。

一般来場者でも特別プランとして利用できるケースがあったが、基本的には事前予約制。

ギフトショップ

PANAFの出口付近にアフリカングッズのショップが併設されていた。

販売していた商品の一例:

  • アフリカンプリントのポーチ・バッグ
  • マサイ族の手工芸品(ビーズアクセサリー、木彫り)
  • アフリカのスパイスセット・ドリンクパウダー(ルイボスティー、ハイビスカスティー等)
  • 各国の公式ロゴ入りTシャツ・グッズ

万博土産として他のパビリオンショップとは全く異なるジャンルの商品が揃っていたため、「PANAF限定の土産を買った」という人も多かった。


PANAFが人気だった理由

PANAFが11万PVという高い注目を集めた理由は、いくつかのポイントに整理できる。

理由内容
珍しさ日本では食べられないアフリカ料理を万博で体験できる機会
月替わりメニュー同じ施設でも来月また来る理由になった
ライブ体験食事しながら本物のアフリカンミュージック・ダンスを鑑賞
パビリオン入場不要チケット不要で気軽に立ち寄れるエリアだった
SNS映えアフリカンフードの見た目、ライブステージの映像が拡散

特に「パビリオン入場不要」という点は大きかった。万博の人気パビリオン(サウジアラビア、インド等)は整理券が必要で数時間待ちになることもあったが、PANAFは立ち寄りやすい形式だった。


PANAFへのアクセス(万博会場内)

PANAFは万博会場の「グランドリング」内、リングモール(環状部分の内側)に位置していた。最寄りの入場ゲートは南ゲート(夢洲駅から徒歩約10分)。

会場内の主要ランドマークからの位置関係:

起点PANAFまでの目安距離
夢洲駅(中央線)徒歩約20〜25分
南ゲート徒歩約10分
ミャクミャク広場徒歩約5〜10分

会場が広大なため、万博内の移動手段(バスや自転車レンタル)の活用を推奨するマップが公式サイトで配布されていた。


PANAFの人気メニュー比較

ティンガとジーニャで提供されていた人気メニューを整理する。月替わりのため全期間を通しての固定メニューではなかったが、SNSで特に言及頻度が高かったものを中心にまとめた。

ティンガ(ビストロ)の人気料理

メニュー名国/地域価格帯(目安)特徴
ジョロフライスナイジェリア / ガーナ(西アフリカ)1,200〜1,500円トマトベースの炊き込みご飯。スパイシーだが辛すぎない。西アフリカの「国民食」
クスクス+ラム煮込みモロッコ(北アフリカ)1,500〜1,800円セモリナ粉の粒状パスタにスパイスで煮込んだラム肉を添える
タジン鍋モロッコ / チュニジア(北アフリカ)1,400〜1,700円円錐形の蓋付き土鍋で蒸し焼きにした肉と野菜。レモンとオリーブが特徴
ブラーイ(BBQ)南アフリカ(南部アフリカ)1,600〜2,000円南アフリカ式バーベキュー。ボーアヴォルス(ソーセージ)付きが定番
ウガリ+ニャマチョマケニア(東アフリカ)1,300〜1,600円トウモロコシ粉を練った主食にグリル肉を合わせる東アフリカの定番
ボボティ南アフリカ(南部アフリカ)1,200〜1,500円カレー風味のミートローフ。卵のカスタードが上にかかる
スーパ・カンジャセネガル(西アフリカ)1,100〜1,400円落花生ベースのシチュー。濃厚だがクセが少なく日本人にも食べやすい

ジーニャ(バー)の人気ドリンク

ドリンク名ベース素材価格帯(目安)特徴
バオバブカクテルバオバブフルーツ + ジン900〜1,200円不思議な甘酸っぱさ。SNS拡散率トップ
ハイビスカスサワーハイビスカス + ウォッカ800〜1,100円鮮やかな赤色。フルーティで飲みやすい
ルイボスモクテルルイボスティー + フルーツ600〜800円ノンアルコール。お茶感覚で飲めた
タマリンドジンジャータマリンド + ジンジャービア700〜900円酸味と甘みのバランスが独特
アフリカンクラフトビール各種800〜1,200円南アフリカ・ルワンダ・エチオピア等の現地醸造ビール

万博終了後の現在(2026年)

2025年10月13日に大阪・関西万博は閉幕した。PANAFが設置されていた会場エリアは現在、撤去・整地工事が進んでいる。

現在PANAFとして行ける施設は存在しない。ただし、PANAFに参加していたシェフやアーティストの一部は、大阪市内や関西各地でイベントや期間限定ポップアップという形で活動を継続している。SNS(InstagramやX)でPANAFゆかりのアーティスト・料理人をフォローしておくと、次の機会をキャッチできる可能性がある。

万博の全体的な振り返りは万博2025振り返り総まとめで詳しくまとめてある。PANAFのような人気グルメゾーンを中心に、閉幕までの記録を網羅している。


閉幕後にアフリカ料理を食べられる場所(大阪・関西)

PANAFで初めてアフリカ料理に触れ、「また食べたい」と思った人は少なくない。大阪市内を中心に、アフリカ料理を提供する店舗を整理した。

大阪市内のアフリカ料理レストラン

エチオピア料理は、大阪のアフリカ料理の中では最も見つけやすいジャンルだ。インジェラ(テフ粉の発酵クレープ)にワット(シチュー)を乗せて手で食べるスタイルが特徴で、天王寺・難波エリアに専門店が点在する。

**西アフリカ料理(ナイジェリア・ガーナ系)**は、大阪市内でも店舗数が少ないが、日本橋・鶴橋エリアにナイジェリア食材店を兼ねた食堂がある。ジョロフライスやエグシスープ(メロンの種を使ったスープ)などを提供する店もある。

南アフリカ料理・モロッコ料理は、専門店としてはほぼ存在しない。ただしモロッコ料理のタジン鍋やクスクスは、フレンチビストロやカフェのメニューに取り入れられていることがある。梅田・北浜エリアのビストロで見かけることがある。

万博で人気だった料理は大阪のれんめぐりガイドとあわせて、大阪のグルメ体験を広げる入り口にもなる。

自宅で再現するヒント

PANAFの味を自宅で再現するなら、以下のメニューが比較的作りやすい。

ジョロフライス(西アフリカ) 材料:米、トマト缶、玉ねぎ、ピーマン、鶏肉、カレーパウダー、チリパウダー、チキンブイヨン。トマトと玉ねぎをフードプロセッサーでペーストにし、鶏肉と一緒に炊き込む。日本の炊き込みご飯に近い要領で作れるため、特別な調理器具は不要。スパイスの配合で辛さを調整する。

クスクス(北アフリカ) 日本のスーパーでもクスクス(乾燥)は手に入る。熱湯を注いで5分蒸らすだけで完成するため、調理は非常に簡単。合わせるシチュー(ラム肉や野菜の煮込み)にクミン・コリアンダー・シナモンを加えると、モロッコ風の味に近づく。

ルイボスティーのモクテル ルイボスティーを濃いめに抽出し、冷やしてオレンジジュースとハチミツを加える。ジーニャのルイボスモクテルに近い味になる。炭酸水で割ると爽やかさが増す。

大阪のグルメ事情全般については関西の食べ歩きMAPも参考になる。


PANAFを体験した人の声(SNSまとめ)

万博期間中にSNSでPANAFを取り上げた投稿を振り返ると、いくつかのパターンが浮かび上がる。

料理について 「クスクスって言葉は知ってたけど、本物を食べたのは初めて。意外にも全然重くなくて食べやすかった」「ジョロフライスが想像の10倍うまかった。カレーとリゾットの中間みたいな料理なんだけど、スパイスの使い方が独特」

雰囲気について 「食べながらアフロビートのライブ聴いてたら時間を忘れた。万博の中で一番異国感があった」「グランフロントのレストランとは全然違う体験。旅行でアフリカに行ったことはないけど、少し片鱗を感じた気がする」

ジーニャについて 「バオバブのカクテルが不思議な甘さで美味しかった。アフリカのフルーツをベースにしたドリンクがこんなに多いと思ってなかった」


PANAFのアーカイブページ

万博当時の詳細情報(メニュー画像・店舗案内)は、万博GOのアーカイブページで確認できる。

アフリカンダイニングホール PANAFのアーカイブ

画像・メニュー・店舗構成など、当時の情報を保存している。


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よくある質問

PANAFは今も営業していますか?

営業していない。PANAFは大阪・関西万博2025の会場内に設けられた施設で、2025年10月13日の閉幕と同時に終了した。会場跡地は現在、撤去・整地工事が進んでおり、PANAFの建物も解体済み。万博跡地の今後については万博跡地はどうなる?夢洲再開発の最新情報で詳しくまとめている。

PANAFはアフリカ料理だけでしたか?

「ティンガ」はアフリカ6地域の料理を月替わりで提供するビストロ、「ジーニャ」はアフリカのクラフトビールとオリジナルカクテルを提供するバーで、食事とドリンクが中心だった。ただしPANAFは単なるレストランではなく、ライブステージでのアフロビート演奏、ファッションショー、アート展示、伝統楽器の演奏体験ワークショップなどを含む文化体験型の施設だった。

アフリカ料理は辛い?

メニューによって大きく異なる。北アフリカ系(クスクス、タジン鍋)はスパイスは効いているが辛さは控えめで、日本人の味覚にも馴染みやすい。西アフリカ系(ジョロフライス等)はチリを使うことが多いが、PANAFでは日本人向けに辛さを抑えた調整がされていた。東アフリカ系(ウガリ等)はそもそも辛い料理が少ない。南部アフリカ系(ブラーイ等)はBBQが中心で辛さはほぼない。全体的に「インドカレーほど辛くはない」というのが来場者の感想として多かった。

ベジタリアン対応メニューはあった?

あった。ティンガでは月替わりメニューの中にベジタリアン対応の料理が含まれていた。特にクスクスの野菜煮込み添え(北アフリカ月)、豆のシチュー(東アフリカ月)、グリル野菜のプレート(南部アフリカ月)などが該当する。ジーニャのドリンクはほぼ全メニューがベジタリアン・ヴィーガン対応。ただしメニューは月替わりだったため、常時ベジタリアン対応が保証されていたわけではない。

PANAFは予約が必要でしたか?

ティンガ(ビストロ)はランチ・ディナーともに事前予約が推奨されており、特に週末や連休中は予約なしでは入れないことが多かった。ジーニャ(バー)とライブステージエリアは基本的に予約不要で立ち寄れたが、特別イベント時は整理券が必要なケースもあった。VIPコーナーは事前予約制。

PANAFで一番人気だったメニューは?

SNSでの言及頻度から判断すると、料理では「ジョロフライス」と「クスクス+ラム煮込み」が二大人気。ドリンクでは「バオバブカクテル」が最も拡散されていた。「ブラーイ(南アフリカ式BBQ)」も肉好きの来場者から高評価だった。ジーニャのルイボスモクテルはノンアルコール派に支持され、家族連れやドライバーにも人気があった。

大阪でアフリカ料理を食べられる場所はある?

ある。PANAFほどの規模ではないが、天王寺・難波エリアにエチオピア料理の専門店、日本橋エリアにナイジェリア食材店兼食堂がある。モロッコ料理のタジン鍋やクスクスは、梅田・北浜エリアのフレンチビストロのメニューに含まれていることがある。詳細は上述の「閉幕後にアフリカ料理を食べられる場所」セクションを参照。

子どもでも食べられるメニューはあった?

あった。ジョロフライス(辛さ控えめに調整可能)、クスクス(野菜添え)、ボボティ(カレー風味のミートローフ)は子どもにも食べやすいメニューとして案内されていた。ジーニャのルイボスモクテルやフルーツジュースもノンアルコールで子ども向け。ただし全体的に「日本の子ども向けメニュー」のような甘口の味付けではなく、スパイスが効いた料理が多かったため、極端に辛いものが苦手な幼児には向かなかったかもしれない。